1.クローン病と食事の関係
「何を食べるか」が回復の鍵になる

クローン病は、大腸や小腸などの消化管に慢性的な炎症や病変が起こる疾患です。
患者の多くは、腹痛・下痢・体重減少・肛門周囲のトラブルなどの症状に悩まされ、
日常生活の中でも「食事」に気を使うことが欠かせません。


食べることは生きることそのものですが、クローン病の治療においては、
「何を食べるか」「どう食べるか」が、寛解(症状が落ち着いた状態)を維持するうえで非常に重要です。


食事管理は薬のように即効性はありませんが、
炎症を抑え、再燃(再発)を防ぐための日常的な“治療の一部”といえます。

2.なぜ食事がクローン病に影響するのか

クローン病の特徴は、炎症が「口から肛門までのどの部分にも起こりうる」という点です。
特に小腸や大腸に病変がある場合、食べ物の通過や吸収に影響が出やすくなります。


脂質の多い食事や、香辛料・アルコール・加工食品などは、
消化管に負担をかけ、炎症を悪化させるリスクがあることが知られています。


また、食事内容は腸内環境にも大きく関係します。
近年では、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)がクローン病の発症や再燃に関与するという報告もあります。
つまり、腸を整える食事が、病状の安定や寛解維持のために欠かせないということです。


3.治療と並行して考える「栄養のとり方」

クローン病の治療は、主に薬物療法(ステロイドや免疫調整剤、生物学的製剤など)を中心に行われます。
しかし、食事療法は薬の効果をサポートし、体力や栄養状態を保つうえで欠かせません。


特に、病気の経過によって「活動期」と「寛解期」で食べ方を変えることが大切です。


▶ 活動期(症状が強いとき)
・消化のよい低脂肪・低残渣食を基本にする
・繊維の多い野菜や刺激物は控える
・乳製品や油物、揚げ物は避ける
・必要に応じて、エレンタールなどの栄養補助食品でカロリーを確保


▶ 寛解期(症状が落ち着いているとき)
・バランスのよい食事を少量ずつ
・脂質・糖質・たんぱく質を適度に
・発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)などで腸内環境を整える
・食物繊維は「やわらかく煮た野菜」から徐々に取り入れる


大切なのは、「何を制限するか」よりも「自分に合う食べ方を見つける」こと。
同じクローン病でも、病変の部位(小腸型・大腸型・小大腸型)や症状の程度によって必要な対応は異なります。

4.食事管理を続けるための工夫

クローン病の食事制限は、長期的な視点が必要です。
「ずっと制限食を続けるのはつらい」と感じる患者さんも少なくありません。


無理なく続けるためには、次のような工夫が役立ちます。


🌿 食事日記をつける
 → 何を食べたときに症状が出やすいかを把握できる。
🌿 “食べられるもの”リストを作る
 → 外食や旅行時にも安心。
🌿 家族と共有する
 → 周囲の理解があると、食事のストレスが軽減される。
🌿 栄養士や医療チームと相談する
 → 栄養の偏りやエネルギー不足を防ぎやすくなる。


また、症状が落ち着いているときは、楽しむ食事も大切です。
「制限ばかり」ではなく、心を満たす食事体験を取り入れることで、
ストレスを軽減し、結果的に体調の安定につながることがあります。

5.検査や手術後の食事
焦らず段階的に

クローン病の患者さんの中には、
腸の狭窄(きょうさく)や穿孔(せんこう)、病変部の悪化などで手術を受ける方もいます。


手術後の食事は、腸の回復に合わせて段階的に戻していくことが必要です。


1️⃣ 流動食(スープ・ポタージュなど)
2️⃣ 軟食(おかゆ・煮込みうどんなど)
3️⃣ 普通食(よく噛んで食べやすいものから)


このときも、「焦らず少しずつ」がポイントです。
退院直後は症状が落ち着いていても、腸が完全に回復しているとは限りません。
無理をせず、医師や栄養士と相談しながら進めましょう。


6.クローン病と食事
“コントロール”ではなく“共生”へ

クローン病は、完治が難しい慢性疾患とされています。
けれど、「寛解」を維持しながら長く安定した生活を送ることは十分に可能です。


そのために大切なのは、食事を“我慢”や“制限”としてではなく、
自分の体と対話する時間としてとらえることです。


体調や症状の変化を受け入れながら、
今日の自分に合った食事を選ぶ――
それが、クローン病と上手につき合うコツです。

まとめ

“食べ方”を整えることが、心と体の安定につながる

  • クローン病の治療には薬や検査、手術などの医療的サポートが欠かせません。
    しかし、日々の「食事」という行為が、
    心身を整える最大のセルフケアになることを忘れてはいけません。


    無理をせず、焦らず、
    「今日も食べられた」という小さな実感を積み重ねていくこと。
    それが、寛解期を長く維持するための何よりの対策になります。

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